プログラミングとデザイン、スタートアップの話

プログラミングやデザイン、スタートアップ関連についての雑記

【実例付きで詳細解説】アフォーダンスをあなたはきちんと理解してる?

あらゆるデザイナーのバイブル『誰のためのデザイン』で紹介された「アフォーダンス」という言葉は、今や多くのデザイナーが日常的に使い、意識するキーフレーズとなっている。しかし、その使われ方が著者ノーマンの意図したものと違う形で広まってしまっているということで、彼は『誰のためのデザイン』の改訂版で、アフォーダンスに加えて「シグニファイア」という新たな言葉を定義し、その違いを説明している。

人間中心デザイン

人間中心デザインとは
著者ノーマンの基礎哲学は人間中心デザインだ。

人間中心デザインでは、まず人間のニーズ、能力、行動を取り上げ、それからそのニーズ、能力、行動に合わせてデザインする。良いデザインは心理学とテクノロジーを理解する所からはじまる。良いデザインとはコミュニケーションを要するのである。

対象物とそれを扱う主体(人間など)とのコミュニケーションを円滑に進めるためには、単にものごとが考えたとおりにいく場合だけをかんがえるのではなく、うまくいかなかったときに注意を集中する必要がある、とノーマンは述べている。主体の満足度はこの時に決定されるため、重要な要素となる。

この主体とのコミュニケーションをうまく行うための重要な考え方が「発見可能性」だ。

発見可能性

誰のためのデザインで紹介される発見可能性

発見可能性は以下の5つの項目+1つの項目で構成される。それは、アフォーダンス、シグニファイア、制約、対応付け、フィードバック、そして概念モデルだ。人間がモノを扱う時に、それがどのような動きを行い、どのような操作が可能であるかを予期、発見する必要がある。これを発見可能性と言う。

この発見可能性の良し悪しがユーザーとのインタラクションの間に起こるコミュニケーションが上手くいき、良い体験を埋めるかどうかを左右する。

この発見可能性を構成する項目の中に「アフォーダンス」と「シグニファイア」があると、ノーマンは述べている。

アフォーダンスとシグニファイアとの違い

アフォーダンスとは、モノの属性と、それをどのように使うことができるかを決定する主体の能力との間の関係のことである。これはそのモノの属性を示すのではなく、そのモノと受け手の人間との関係性を示す。言い換えれば、アフォーダンスとは、モノの性質とそのモノとインタラクションしている主体の能力が合わさって決定される、二者間の性質に依存した存在ということだ。

より平易な言葉にまとめると、アフォーダンスはどのような行為が可能かを決定することを指す。しかし、多くの人達がこの言葉を筆者の意図する形と異なった方法で使うようになったと筆者は述べている。その一例がこちらだ。

デザイナーは、ユーザーがマウスや指で触るべきところを示すために丸を書いたわけを説明するのに「ここにアフォーダンスをつけた」というようになった。「違う。」と私は言った。「それはアフォーダンスではない。それは触るのはどこかを伝えるやり方だ。どこを触ればよいかを伝えているのだ。触るというアフォーダンスは画面全体に存在する。君たちは、触るという行為をどこで行えばよいのかを示しているのであって、それはどんな行為ができるかを言うこととは違うのだ。」

アフォーダンスがどのような行為が可能かを決定するものであるが、一部のデザイナーはどこでその行為が行われるかを指し示すことについても「アフォーダンス」という言葉を使うようになったという。そういった状況を解決するためにノーマンは「シグニファイア」という言葉を定義した。

シグニファイアとアフォーダンスについての完結な説明が以下だ。

アフォーダンスは、主体(人間、動物、機械)が何かとどうインタラクションできるかについての、実世界の中での可能性を示す。アフォーダンスのうちのあるものは知覚可能であり、あるものは見えない。シグニファイアはシグナルである。シグニファイアは、たとえばドアに書かれた「押す」「引く」「出口」などのように、実世界に置かれたサイン、ラベル、絵などであったり、何をすべきか、あるいはどの方向に動けばよいのかの矢印や線図、その他の指示表示であったりする。

ドアを例にあげてみよう。ドアは特別なシグナル(アイコンなどのサインやラベルなど)が無くても、これまでの人間とドアとの経験則から「押すのか、引くのか、スライドさせるのか」といったことは想像が付く。ドアがどのように動き、どのような操作を行うべきかというアフォーダンスはドアというモノを認知した時点で、ユーザーは理解できているということだ。

アフォーダンスとシグニファイアの違い

しかし、そのドアに取手がついておらず、「押す」「引く」などの表記もないようなただの木の板だったとすると、ユーザーはどのように操作したら良いのかを瞬時に理解することが出来ない。ドアの左側を押すのか、ドアの右側から左側へスライドさせるのか、ドアの右側を引くのか検討が付かない。これは、アフォーダンスが欠如しているのではなく、シグニファイア(シグナル的要素)が欠如しているためだ。

この状況を解決するために用いるものがシグニファイアであり、どこでどのような操作を行えば良いかを指し示す必要がある。

例えば、先の例のドアの右側にドアノブをつけたとしよう。このドアノブは1つのシグニファイアとなり、ユーザーに操作についてのシグナルを発する。ドアノブがついていれば、一般的に考えればそれをひねって押すのか引くのかということがユーザーには想像できる。スライドさせるという候補は消された。しかし、まだ「押す」のか「引く」のかはわからないままだ。そこでさらにもう1つのシグニファイアを付け加える。例えばドアノブの上に「PULL」というラベルを貼る。そうすることでユーザーは「このドアは引いて開くのだ」というシグナルを受け取ることが出来る。注意すべきは、これはアフォーダンスではない。操作方法を指し示すシグナルを生み出しているシグニファイアなのだ。

このアフォーダンスとシグニファイアという言葉は著者ノーマンが再度明確に線引きし、定義した重要な部分なのでデザイナーとしてはきちんと理解しておきたい。

デザイナーにとって教科書的な存在なので、まだ読んだことがないデザイナーの方はぜひ購入してみては。

デザイン関連で最近見つけた良書