副業を検討しているエンジニアの人に、「副業実際にやってみてこんな感じだったよ〜」という内容をお伝えすべく、この記事では良かったことも悪かったことも含めて、できる限りリアリティのあるエンジニアの副業話を書いていきたいと思います。
先に結論を書いておくと、副業はエンジニアのキャリアアップ・スキルアップに繋がるからチャレンジには大賛成だけど、結構たいへんな面も多いから用法用量を守ってやりましょうね、という感じ。
本業に加えて副業をやるというのは思った以上に大変で、副業先からしれっとフェードアウトしちゃうみたいな人も見てきました。「あれ、あの人連絡つかないな」みたいな。
そうなったら自分自身にも企業にも良いことはないので、できるだけ副業に対して理解を深めておきたい所です。
エンジニアが副業をした時のメリット
エンジニアが副業することによって得られるメリットについては再三目にしたことがあるかもしれませんが、おさらい程度にまとめておきましょう。
視野が広がる・新しい視点が増える
新しい職場で働くと、やっぱり新しいインプットが増えます。副業はエンジニアとしての成長の機会に満ち溢れています。
開発手法やリリースフロー、タスク管理、コミュニケーションなど大小問わず色々な発見があることは間違いないです。
本業と副業を相対的に比較できるので、「これは本業の会社の方がいいな」「このやり方は知らなかったけど、副業先の方が良い感じだな〜」など。
本業で学んだことを副業先で棚卸しすることで、副業先の企業に価値をもたらします。もちろん、その逆も然り。
特に3年〜5年とずっと同じ企業で努めている人が副業をしてみると、知らなかった世界が一気にパーっと広がります。
技術を盗める(コードは盗んじゃ駄目だよ)
色々なことを副業先で学べますが、特にエンジニアにとって大きいのは、技術について学ぶチャンスを得られるということ。
仮に2ヶ月ごとに副業先を変えた場合、半年経てば3社の開発について実際の業務を通じて知ることができます。
本業+副業3社の合計4社を経験すると、良い意味でも悪い意味でも比較検討ができるようになります。
「A社ではこういうライブラリを使ってて、めちゃんこ良かったからうち(本業)にも導入したい」とか、「C社にいたXXさんのコードすげえ勉強になったわ」みたいな感じです。
副業の場合はNDA(秘密保持契約)の関係があるので、それに抵触しない範囲という限定がつきますが、実際に他社の優秀なエンジニアと一緒に働くという経験は自分にとっても本業の企業にとっても計り知れないプラスの影響があります。
特にこういったエンジニアは副業することで技術レベルを上げやすいと思います。
- 本業の社内に自分より技術力の高い人がいない
- 3年以上ずっと同じ企業で働いている
- ロールモデルとなるエンジニアが社内にいない
組織風土の勉強になる
副業として業務を行うことで、副業先のカルチャーを肌で感じることができます。
Slackでのコミュニケーション1つをとっても、案外企業によって使い方とか気持ちよさが全然違います。
円滑に気持ちよくコミュニケーションを取る方法を知れたり、エンジニア同士がスムーズに開発を行うためにはどうしたらいいかというヒントが得られます。
転職先を効率的に見つけれられる
これは本業側の企業にとっては人材流出リスクと言われていますが、まあ実際転職のきっかけになってしまうことは多々ありますね(もはや人材の流動性は高くなる未来しかないと思うので仕方ないと思います)。
副業をすれば企業側も働く側もお互いのことを十分に知ることができます。これは副業という文化・制度がなかった頃には得ることができなかった利点ですね。
入社後のミスマッチの可能性を限りなく下げることができるし、企業側も同じことが言えます。
ちなみに副業をすると、副業先の企業で働いている副業メンバーと仲良くなれます。つまり「企業 - 自分」の1:1のつながりだけではなくて、「企業 - 副業メンバー - 自分」という繋がりが生まれるので、仲良くなった副業メンバーからその人の本業先に誘われることだってあります。
副業メンバー同士のネットワークが広がることで、現場で良いアウトプットを出している人には色々な所から声がかかりやすいという現象が起こっています。
例えば、ある会社にAさん、Bさん、Cさんという副業メンバーがいて、あなたがその企業で副業を始めたとしましょう。その副業先であなたの仕事ぶりを周りの人が見て「あの人優秀だな...」となった場合、その会社だけではなくAさんやBさん、Cさんからも声がかかることがあるわけですね。
なぜこういうことが起こるかというと、最近ではどの企業も優秀なエンジニアを採用したいがために社員へのリファラル採用インセンティブを実施している所が多いからです。
そのインセンティブがあるが故に、一緒に働いている副業メンバーからも誘いを受けることが増えているというのが今の採用市場です。
エンジニアが副業をした時のデメリット
メリットがある反面、副業には大変なこともあります。個人的にはエンジニアは一度でも良いから副業をした方がいいと思っていますが、その前に副業をした時の辛い面を知っておいた方がいいかなと。
純粋な労働時間増による疲弊
当たり前ですが、副業をした場合、本業の就業時間が減らない限りは労働時間が長くなります。
副業をする時の具体的な働き方にはこんなケースがあります。
- 平日10:00〜21:00まで本業(残業含む)、その後22:00〜24:00の2時間で副業
- 平日は本業のみ、土曜日に8時間副業
- 平日は本業のみ、土曜と日曜日に4時間ずつ副業
あまり無理をしていない副業スタイルでも上記のような感じです。
これまで土日もプライベートな開発などをしていた人は実際にコードを書いている時間は違うかもしれませんが、心理的には「仕事」になるため少し感覚は違います。
仕事である以上は何らかの成果が求められるので、プライベートでの技術習得や開発とはちょっと違ってくるわけです。
毎週土曜日は副業をするケースの場合は実質週休一日になります。これは慣れるまでは、ちょっと大変に感じる人もいるというのが現実です。
後述しますが、これから副業をする人は最初はスロースタートで行くことをオススメします。
オンライム中でもメッセージ等で気が散る
あなたの本業のオンライムの時間は、あなた目線では副業はオフタイムです。でも、副業先の企業からしたら同じようにオンタイムなので、副業先の企業で働いているメンバーはガツガツとSlackでメッセージをやりとりしていたり、コミットをしていっています。
なのでSlackをつけていると通知が飛んできます。場合によってはあなたに対してメンションが飛んでくる可能性があります。
まあこれについては通知をオフにしておくとか、契約を巻く時に本業中はメッセ返せませんという旨を伝えておくという対策が取れますが、現実としてはこんな感じなのでイメージは持っておいたほうがいいでしょう。
マインドシェアが複数分割されることによるストレス
メッセージが来ることに代表されるように、副業を始めた途端あなたの仕事に対するマインドシェアは本業100%だけではなくなります。
本業と副業の実質業務時間が5:1だったとしても、マインドシェア的には3:1くらいのイメージです。
もし副業先の開発案件がリリース直前とかになった場合だと、副業先を気にしてしまう気持ちはもっと大きくなるかもしれません。
1つのことに集中するよりも、2つのことを並行してやるほうが心理的負担は大きいので、地味にストレスがかかることは免れません。
副業先に熱が入りすぎないように割り切るとか、しんどくなってくる予兆がしたら副業を一旦辞めてみるみたいな対策をしておきましょう。
あなたにとっては副業でも、副業先の企業からしたら大切な自社事業なので、割とあなたに対してガッツリとコミュニケーションを取ってくることもあります(結構日中にメッセが飛んでくるとか)。
副業を初めてする時の3つの心得
そんなわけで副業で辛みを味わうことがないようにするための3つの心得です。
契約稼働時間は週1日から始めてみよう(月32時間〜40時間)
副業は最初はゆるく始めてみましょう。
「平日2時間×4日+土曜日8時間で合計週2日分稼働できます」みたいな契約を最初からしてしまうと、休む時間や自分の時間が取れなくなってパンクしちゃいます。
できるだけリモートOKの所にしよう
本業が終わった後に副業先に移動したり、土日にMTGに行かないといけないとかになると割としんどい感じになります。
「土日働いてる所あるの?!」みたいに思うかもしれませんが、スタートアップとかは土日もMTGはOKにしている所があったり、副業メンバーでうまく運営するノウハウが作れている企業とかは、そんな感じのところもあります。
このご時世、副業メンバーを募集しているのに出社必須とかいう理解しがたい制度の所は最初から丁重にお断りするとして、副業としてのアウトプットはトータルでリモートの方がいいということをお互いに理解できる所で働きましょう。
副業先でのつながりを大切にしよう
転職の件で書きましたが、副業先にいる社員さんや副業メンバーの方はあなたの大切な繋がりになります。
転職以外の話でも、技術の話とかで色々と学びがあるかもしれません。
普通に良い相談相手がいっぱいできます。その企業での副業が終わった後にも、人と人としての繋がりは残るので、長い将来どこかでその出会いがお互いにとって役に立つことがあるでしょう。
副業を見つけられるマッチングサイト
ちょっと副業を探してみたいな〜という人のために、副業をサクッと探せるサイトを2こだけ紹介します。
Workship
Workshipは副業マッチングサイトです。会員登録して、自分のスキル入力をして、気になる企業をポチポチ押すだけです。
自分が気になった企業に「気になるボタン」を押しておけば、お互いのマッチングが成立したらメッセージができます。変なスカウトとかは来ないです。
全部オンラインで完結するので、あまり手間をかけずにスキマ時間で副業をゆるく探せます。
ITプロパートナーズ
ITプロパートナーズはいわゆるフリーランスのためのエージェントです。
フリーランスエンジニアが案件をさがす時によく使っているのですが、最近では週1日からOKな案件も取り扱っているので、副業エンジニアが使い始めています。
Workshipとは違って、エージェントに登録したらオンラインでサクッと面談をして希望条件を伝えます。面談を1回やってしまえば、あとはその希望条件にあった案件をエージェントの担当の人が探して持ってきてくれるので、Workshipよりも楽に副業先を探せます。
エンジニアが副業するとキャリアやスキルの面ではプラスになることがほとんどです(もちろん収入もね)。なので、副業ができる環境の人は一度チャレンジしてみると新しい経験に鳴ると思います。
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